鮭の子漫画

惰性の漫画と日記を書くの

ナメック星の住み心地について

 上戸くんは、ナメック星に住んでいたことがある。ドラゴンボールを収集するためでもなければ、宇宙を守るためでもない。出稼ぎで、だ。

 彼は背が小さいものの筋肉質で、タンク系の見た目だ。人間界隈では強そうな上戸くん。僕らの仲間内でも、

「ナメック星でやってけんのは上戸くんくらいだよな〜」

 と言われていたほどだ。

 そんな上戸くんが帰星後に放ったのは、「俺なんかじゃ役に立たなかった」という敗者のセリフ。並大抵の男なら、プライドが邪魔してそんなこと言えない。「余裕すぎて手ぇ抜いたわ」くらいの軽口を叩くのが男子として当たり前のこと。

 大衆の面前で自ら裸になる者はいないと思うが、挫折を素直に認める上戸くんは一皮も二皮も大きくなっていたと言える。

 それでも僕らは、上戸くんが「役に立たない」なんていうのは信じられなくて、どうしてなのかを追求した。

 どうやら向こうの原住民は、空も飛べるし戦闘力も僕らの何千倍となるらしい。

「気でも狂ったか」

 誰かが発するも、罵声はすぐに止んだ。たしかに信じられない話だが、上戸くんが作るぼんやりとした眼差しは、真実を物語っていた。新垣結衣がこれほどに落ち込んでいたのなら、世の男供がすかさず涙の受け皿になろうとするところだが、今回は上戸くんだ。あの、上戸くんなのだ。

 でもこれはまだ序の口。僕らはさらに絶望を突きつけられる。

 なんと現地には、太陽が三つもあるそうだ!

 これには膝から崩れ落ちるしかない。家賃7万、8万の話をしていたら「53万!」と言われたような感覚だ。

 三つの太陽の動きとしては、Aが沈んだ直後にBが西日となり、Cが登り始めるという順番だ。地表は冷めることを知らない。グングンあがる気温。太陽Bが西日になるこの時間帯が特に辛いそうだ。

 そう、上戸くんは筋肉質だから、熱を持ちやすい。出勤するや汗でビシャビシャだ。しかも原住民は飛べるから、交通機関もないそうだ。なんという苦行。「出稼ぎ」なんてマイルドな言葉を使っておいて、これでは人権問題に発展しかねない。

 ちなみに、ナメック星に労働基準監督署はないそうだ。救いの手は、ない。

 息絶え絶えになって帰星した上戸くんであるが、どうにも見た目がシュッとしているのだ。こう、ユニクロで上下固めたとしてもちょっとオシャレ? に見えちゃうようなスタイルの良さ。それを多少なりとも自覚することで作れる姿勢。あんなにガッチリむっちりだった上戸くんが、骨格レベルで変わっている。

 欧米かぶれならぬナメックかぶれかは知らないが、苦労話もやれやれといったふうに吹き飛ばす話し方。

 たぶん、何かしらで願い事を叶えてもらったに違いない。

 

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おわりっ