鮭の子漫画

惰性の漫画と日記を書くの

二郎系のラーメンが、課税対象だってよ

 二郎系のラーメンが課税されることになった。お役所はこれを、以下のように周知した。

「この度の景気低迷による刺激策として、健康促進を目的とした政策を選定する運びに至った。国民の充足した環境を整備することこそが消費に繋がると結論づけ、健康被害が指摘されている二郎系への課税が最も望ましいと両議員で意見が一致。十月一日から二郎系に一律の課税が実施される」

 各局のワイドショーは、こぞって湾曲するように報道した。湾曲可能なように伝える政府と、湾曲して伝えるマスメディア。持ちつ持たれずの構図はバイキンマンアンパンマンさながらだ。

 報道で一番多かったのは陰謀論で、「景品表示法のグレーゾーンを綱渡りする二郎系を、政府は口減らししにかかっている」というものだ。

 曰く二郎系は、野菜増し増し無料と銘打って健康志向の若者を引き寄せておきながらも、依存性のある成分を提供しているらしい。野菜を前面に出しておきながら依存させるのでは、たしかに景品表示法に引っかかる。

 引っかかるのではあるが、現行法では明確な基準がなく規制できない。そのため健康促進を銘打って課税し、結果的に口減らしする戦略に政府は舵切りした。一義的に他の飲食店を牽制するためにも、影響力の高い二郎系はちょうどよい標的だった、と昼の顔である三下の司会者が煽っていた。

 このような調子でマスメディアが焚き付けたこともあり、国民からの批判は噴出した。マインスイーパーしているだけの役人らしい政策だ、という皮肉から始まり、どれほどの税収になるのかの試算。店頭価格の上昇にともない令和の米騒動が起きるのでは? という懸念。米騒動ではなく豚騒動だという指摘。二郎系=豚というステレオタイプはおかしい、などなど。関係のないところまで議論は波及した。

 批判や陰謀論は止まるところを知らなかったが、与党はほとんどダメージを受けなかった。若者の支持がなくなったとて、選挙には影響がないのだ。圧倒的母数を誇る年寄りの有権者にさえ手厚い保証をすれば、政党としては安心だ。

 すったもんだしたまま期日を迎え、二郎系は無慈悲にも値上がりした。税込みで、一杯の値段は1900円がほとんどだ。

 僕の古くからの友人である坂本くんは、お金がないゆえにこんな言葉を残していた。

「腹を空かした若者たちに、二郎系を配って周りたい」

 令和のアンパンマンだ。その前にまず、自分の食い扶持を見つけてほしいものだが、僕は皮肉を言わなかった。いや、言えなかった。所得の問題で二郎系を断っている彼は目の充血と汗が尋常じゃなく、皮肉なんて向けたら殺意で返されかねなかった。

 代わりに僕は、荒川の河川敷で脱法二郎系の屋台が出ていることを教えてやった。

 この脱法ビジネスで、僕はかなり稼げている。

 

f:id:sakenoko:20210815230958p:plain

f:id:sakenoko:20210815231022p:plain

f:id:sakenoko:20210815231015p:plain

f:id:sakenoko:20210815231011p:plain

f:id:sakenoko:20210815231006p:plain

 

おわりっ