鮭の子漫画

惰性の漫画と日記を書くの

ポケモンGOが国営化だってよ

 職のなかった坂本くんが、人生の舵を大きくきって、国家事業に従事することとなった。徴兵ではない。勇気リンリン意気揚々、己の意思で応募していた。

 たずさわるのはもちろん、民営化されたポケモンGO事業だ。

 その認知度と規模から、坂本くんは大船に乗った気になっていた。まるで自分が開発者であるような態度をとり始めたことを私は忘れない。

 調子に乗っている坂本くんのことより、ポケモンGOの民営化に興味津々の方々が多いだろう。そこをまず説明する。

 雇用の創出、IT産業で他国と戦うため、我が国はポケモンGOに一点集中。追加開発費にも莫大な投資をすることが決まった。

 アメリカは半導体事業に1兆円投資しているし、テスラ社はIoBなるものに投資したり、ハイテク産業こそが次世代を牽引するのは明白。

 そこで我が国は、ポケモンGO

 理由は単純。今や老若男女に認知されている一大産業で、ターゲットは全世界に広く存在する。TOYOTAじゃ1台100万円からの商売で、新興国で苦戦する。が、ポケモンGOなら130円からの課金で済むため、広くリーチできる。

 戦後稀にみる魅力的なこの事業。国営化の道のりは決して平坦ではなかった。なんたって、開発元であるナイアンテックアメリカ企業なのだ。

 株式会社ポケモンが権利関係を盾に、ナイアンテックの株式取得を試みるも失敗。任天堂が金に物言わせても交渉は失敗した。そりゃあアメリカ様だって、天下のナイアンテック、ドル箱のポケモンGOをやすやすと日本に引き渡すわけがないのだ。

 そうした中、満を辞して日本政府が登場。颯爽と、ナイアンテックの株式を90%取得した。もちろん、株式公開買い付け。敵対的TOB。株式の50%取得で充分なところを、90%。日本政府の懐の深さが垣間見えた伝説として今でも語り継がれている。これで実質、ポケモンGOは国営となった。

 フランスがルノーの株を有しているのと同様に、国家戦略として非常に期待ができる。政府も、国民も、これからの日本に息巻いていた。その期待感により景気は上向き、日経平均は四万円台を突破。ポケモンショックと呼ばれる騒動となった。

 ポケモンGOの開発、運営が意のままとなり、もちろん版元は国内企業ゆえにコントロール可能。その状況でまずは雇用の創出が優先された。働きたくても働けない者のセーフティーネットポケモンGO事業となったのだ。

 栃木南部に拠点が構えられ、北関東を中心に計800万人の雇用が生まれた。

 働く世代の総人口が8000万人ほどだから、日本の勤め人の1/10がポケモンGOに関わっていることになる。

 関東一円に広く雇用が生まれたことで、東京一極集中も解消した。対して、過疎地域で独り身となってしまっている老人は、拠点周辺への移住が促された。結果、孫の面倒をみやすい環境が出来あがる。そうして好景気が追い風となり、日本にプチベビーブームが到来した。小さな波だったはずだが、ずいぶんなビッグウェーブとなった。

 そんな押せ押せドンドンのこの時期に、ポケモンGOの終焉を予測できた人間はどれだけいただろう。

 きっかけは、福岡に拠点をおくレベルファイブ社が、密かに「妖怪ウォッチでcome」というゲームで巻き返しを目論んだことだ。

 妖怪ウォッチなんて泥舟、誰が乗っているんだと嘲笑する人も多かった時代。概して、嘲笑される側が世紀末の大洪水を乗り切れるわけだが、今回も例外ではなかった。

 天下のポケモン様にとって、妖怪ウォッチなどとるに足らない知的財産であったはずだが、そう、この国はセンスというものが欠如しているのだ。

 国家運営によりポケモンGOは、モンスターを札束で殴るゲームへと変わっていった。各種利権でギャラドスベロリンガのステータスが異常に上がり、無駄な3D化と外注による中抜きも問題視される。

 会議の弁当代が三千万円計上されるといった珍事もあった。変えた仕様をまた戻したりなんて日常茶飯。三省堂の辞書の「先導多くして山登る」の説明欄に、ポケモンGO運営の事例が使われたりもした。

 そんなわけで、国営ポケモンGOが沈没するのは思いのほか早かった。

 ルンルン気分で栃木へ行った坂本くんは、東京に戻って来られず、結果田舎へ島流しの形となった。国のイヌッコロにはなるなという教訓が、遠吠えのようにして届いた気がした。就職する直前の小生意気な態度は、水に流してやるとする。

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おわりっ