鮭の子漫画

惰性の漫画と日記を書くの

ヤンキーが減ってバットの発注先がなくなって困っています

 小野くん家がピンチだ。僕らは私立の高校に通ってるわけだが、スポーツ用品店を個人で営んでいる小野くん家は、残酷ながら授業料の捻出に窮している。「スポーツよりも、ゲーム! YouTube!」のこの時代に、スポーツ用品店1本で立ち向かうのは、代官山での合コンに無印良品の服で出向くくらいチャレンジャーなわけで、事実、戦況は厳しいらしい。

 さらに小野くん家に追い討ちをかけているのが、昨今のヤンキー不足。

 ヤンキーが喧嘩したり窓ガラスを割るのに使われることでバットは傷つき、次々と消費される。物持ちが良い方のヤンキーだって、武藤敬司モデルの新しいバットが発売されたら即買いしていた。それくらい、ヤンキーにはバットが、マリトッツォの比じゃないくらい売れていた。

 しかし、スポーツDEPOとゼビオが、おしゃれな人向けに商品展開するようになってからというもの、東京駅、そう、「丸の内で軽く汗流そ」的な層がヒエラルキー上位者となった。その和やかな像が若者にハマり、ホワイトな社会人ライフに憧れる者が急増した。

 ヤンキーなんてやっている場合じゃない、より良い就職先(皇居ランができて丸の内にもアクセスしやすい東京"駅"周辺の企業)に勤務するため勉学に力を入れよう という雰囲気がヤングたちの潮流となった。

 そんなわけで、ヤンキーが減り、バットの消費がなくなり、小野くん家のスポーツ用品店は萎んでいった。

 結果、小野くん家の雰囲気は悪くなり、小野くんはグレた。

 田舎はすごいもので、グレたという情報はmixiでグングン広まった。地方でメジャーなSNSは「バクサイ」だというイメージが都民には強いだろうが、今は1周回ってのmixiだ。だってコミュニティ機能があるから。

 mixiを毎日のように張っていた先輩ヤンキーは、もちろん小野くんをスカウトした。

 小野くんは特に何も考えず、手下となったそうだが、小野くんとヤンキーの親和性は想像以上に高かった。小野くん家には、在庫として余りに余ってるバットがあるからだ。

 小野くんは、武器の調達先として先輩ヤンキーから重宝された。バットを先輩たちに横流しするだけで強面の連中が群がってくるのだから、そりゃあ愉快だろう。まるで、餌を放られた鯉のようだ、と当時の小野くんは言っていた。

 そういう関係性が出来上がり、小野くんは地位をグングン上げた。年功序列制のヤンキー界隈の中で、滝登りするかのごとく出世していく存在は珍しい。

 いつしか小野くんは、トップに登り詰めた。

 組織はおおきくなり、「自分をこの貧困に陥らせた上流工程に一矢報いる」と野望を持つ。

 東京駅周辺でキャッキャと男女で汗流してるしてるOLや起業家を撲滅すべく立ち上がったのが、後の東京リベンジャーズであるが、それはまだ先の話だ。

 

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おわりっ